2012年4月14日土曜日

くすりと健康の情報局|からだの症状|胃痛・胃もたれ(原因)


シクシク、ズキズキ痛む「胃痛」や胃が重くなる「胃もたれ」は、主に胃酸過多や胃運動低下によって起こります。空腹時などに胃酸が出過ぎると胃の粘膜が傷ついたり、胃の働きが衰えたりして、胃炎や消化性潰瘍などの病気になります。

胃の働き=リズミカルに動いて食べたものをドロドロに

胃の主な働きは、食べ物が腸で本格的に消化・吸収される前の、準備的な消化を行うことです。また、食べ物をいったんためておき、腸での消化の進み具合に合わせて少しずつ送り出す役割があります。
胃の入り口には「噴門」、出口には「幽門」という2つの門があります。噴門は、食べ物が来たときだけすばやく開き、胃の内容物が食道側に逆流しないようになっています。
食べ物は、胃のリズミカルな動きによって胃液と混ざり、消化しやすいように小さく粉砕されます。ドロドロになった食べ物は、ぜん動運動(=胃がくびれること)によって、幽門から少しずつ次の十二指腸に運ばれていきます 。


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胃液の成分=溶かす胃酸、分解するペプシン、守る粘液

胃液は1日に約2リットルも分泌されており、次のような成分が含まれています。

胃酸:金属も溶かすほどの強力な酸(pH1〜2)で、胃粘膜にある「壁細胞」から分泌されます。強い酸性状態を作って食べ物を消化し、同時に、食べ物と一緒に侵入した細菌のほとんどが胃酸により殺菌されます。

ペプシン:タンパク質を分解する消化酵素です。主に胃粘膜にある「主細胞」から分泌されます。

粘液:胃の粘膜が胃酸やペプシンにより自身が消化されてしまわないように、胃粘膜の「副細胞」「粘膜上皮細胞」から粘液が分泌されて、胃の粘膜を薄い膜で覆っています。
粘液分泌のバランスが悪くなり、粘液による防御力よりも胃酸やペプシンの攻撃力の方が強くなると胃の粘膜が荒れてしまいます。

胃痛はなぜ起こる?=出過ぎた胃酸が粘膜を攻撃


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胃酸は、胃の粘膜にある「壁細胞」から分泌されています。この壁細胞には、おいしそうなにおいをかいだときなどに脳の指令で副交換神経を通じて分泌されるアセチルコリン、食べ物が胃に入ると分泌されるガストリン、そして何も食べていないときや夜間などでも常に必要な胃酸の量を分泌するようコントロールしているヒスタミンの3つの物質によって、胃酸を出すしくみが備わっています。またヒスタミンは、アセチルコリンやガストリンから刺激を受けることでも胃酸を分泌するため、胃酸分泌量の約7〜8割に関与していると考えられています。

ところが何らかの要因で胃酸が出過ぎると、粘液では防御しきれなくなり、粘液の層が壊れたところから胃粘膜が傷つけられてしまいます。その傷を胃酸がさらに刺激することにより、胃のまわりの神経が刺激されて、シクシク、ズキズキという痛みが起こるのです。胃痛を引き起こす要因としては次のようなことが考えられます。

<胃痛を起こす要因>


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  • ・ストレス
  • ・アルコール、タバコ、コーヒーの飲み過ぎ
  • ・暴飲暴食、刺激の強い食事
  • ・ピロリ菌※1の感染
  • ・くすりの服用※2

※1 ピロリ菌:
胃の粘膜に定着(感染)し、慢性胃炎や胃・十二指腸潰瘍などの原因になるといわれている細菌。胃の中は酸性が強くて細菌は生息できないと考えられていましたが、ピロリ菌は粘液中の尿素をウレアーゼの作用で分解して局所的に胃酸を中和することで胃内に定着しています。1983年にピロリ菌を発見したオーストラリアのロビン・ウォレンとバリー・マーシャルは、2005年にノーベル生理学賞、医学賞を受賞しています。

※2 くすりの影響:
頭痛薬やかぜ薬などに含まれる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の副作用で胃が痛くなることがあります。NSAIDsは、痛みのもとであるプロスタグランジンという物質を作るシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の作用を阻害することで痛みを和らげるくすりです。しかし、プロスタグランジンの中には胃の粘膜を保護する作用を持つものもあるので、NSAIDsによりその合成が阻害されると、胃が荒れやすくなります。

胃もたれはなぜ起こる?=胃運動の低下と消化力の低下


胃の運動は、自律神経によってコントロールされています。脳の指令で分泌されるアセチルコリンや、胃内に食べ物が入ると分泌されるガストリンがぜん動運動を促進する働きをします。しかし、何らかの要因で運動機能がうまく働かないと、胃の中の食べ物がなかなか十二指腸に行かず、胃に長時間とどまることによって胃がもたれます。胃もたれを起こす要因としては次のようなことが考えられます。

<胃もたれを起こす要因>

  • ・食べ過ぎ、油ものの取り過ぎ
  • ・体質や加齢による胃の働きの低下
  • ・ストレス

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